学科教員の著作をご紹介させていただきます。
自己決定理論を日本ではじめて紹介した本である。そして自己決定理論に基づく動機づけの変化過程は自己形成につながることを示唆した。
生きる力をつけるという観点から様々な提言がなされている斬新な教育心理学の教科書である。
現代の若者たちの心の裏側に他者を軽視することでえられる仮想的有能感が潜んでいることを指摘した書でベストセラーにもなった。韓国と台湾で翻訳書も出版された。
仮想的有能感に関する数年間の実証研究をまとめたものである。隣接概念との類似点や相違点、文化の影響、就職活動・労働意欲との関連など前著ではふれていない内容も盛り込まれた。
現実の日常的なやる気の姿を描写することから初め、これまで主流であった認知的動機づけ理論に対して、動機づけを構成する中核部分は感情にあるとして感情的動機づけ理論を提唱する 。
心理学の入門書と考えることができ、監修者が指導した著者たちがそれぞれの研究に基づき自分とかかわるコンピテンス、他者とかかわるコンピテンス、社会とかかわるコンピテンスについて紹介している。卒論等のテーマを探るのに適した書である。
原著はマンネルとクリーバーが社会心理学的理論を駆使してレジャーの心理を体系立てて解説したものである。日本ではレジャーに関する数少ない心理学書といえる。
動機づけの原因帰属理論で有名なワイナーの意欲的な帰属理論の展開の書といえる。帰属のあり方が道徳的感情を規定するという枠組みは多くの分野に適用可能である。
本書は,著名な基礎実験,認知心理学実験のappletをサーバに保存することで,大勢の学生を対象にWebを介して一斉に実験演習を行えるようにするために書かれたものです。本書には,プログラムの使い方から始まり,Ponzo錯視,Muller-Lyer錯視,Poggendorff錯視,Sperlingの実験,Stroop実験,Memory Span実験,Posnerらの実験,Levels of Processing実験,Mental Rotation実験,Semantic Memory実験の各々の簡単な理論的背景と実験の仕方,分析法が記されています。講義で一斉に心理実験演習をしたい心理学担当の先生方,主要な実験の概要を知りたい心理学専攻の学生の方々のお役に立てれば幸いです。
分散学習が再生率を高めること,すなわち,「分散効果」の存在は,古くから知られています。本書は,なぜそのような効果が生まれるのか,どうしたら効果的な分散学習が可能になるのかについての認知心理学的研究と知見を詳しく解説した専門書です。分散効果について詳しく知りたい方だけでなく,これから認知心理学を専門としようとする方,認知心理学の特定のテーマについての研究の深め方を知りたい方,認知心理学が学習にどのように役に立つのか知りたい方,これから認知心理学の博士研究を行おうとしている方・書こうとしている方などにお薦めします。
本書は,様々な領域の心理学を,心理学に関心の高い高校生や大学生のために紹介しようとした本です。心理学と工学の2つの学問を専門とする筆者はその中の「隣接科学と心理学」で言語学,工学,大脳生理学と心理学の密接な関係を平易な例を挙げながら解説していますが,これ以外にも様々な領域や進路が紹介されており,これから心理学を学ぼうとする人,他の領域を専門としながら心理学にも興味があるという人には,読んでみる価値のある本です。
一般的な統計書にはないような,要因計画法の平易かつ詳しい解説が書かれている,見ながら分析することのできる本。筆者は,同じ被験者にいくつかの水準を割り当てる「被験者内1要因計画」を執筆。ここには,他書にはあまり書かれていない「傾向検定」の手順も記載した。これから卒業研究の分析を自分の手でやってみようと考えている人などには最適である。
新教職課程シリーズの第2巻で,発達的観点から教育のあり方を示した書。実際,児童・生徒の発達の特徴や性質を知らずして適切な教育を論じることはできません。筆者は,第9章「認知の発達と学習」で,乳幼児期までの知覚発達と言語発達,児童期の記憶と理解の発達,教育と発達の最近接領域について詳しく解説しました。児童・生徒の発達的特徴や本質を理解した上で実りある教育を行いたいと考えている教職希望の学生や現場の教員の方々は,是非ご一読ください。
心理学の各領域の専門家が,その領域のエッセンスを簡潔だが詳細に記した心理学の入門書。筆者は,第2章「心の認知機能」で,認知とは何か,知覚と認知の違いは何か,人間の認知の不思議,視覚情報処理過程の重要な知見について,様々なおもしろい知見を取り入れながら解説しました。講義でもこの解説は好評で,これはおもしろい!と思っていただけると確信しています。
2セメスター制の大学の心理学の入門講義に最適な書。第1部は各心理学の基礎理論が紹介されているだけでなく,日常生活に密着したトピックスや著名な心理学者の紹介が載せられている。第2部は応用編で,青年の悩み,女性のアイデンティティ等,アップ・ツー・デートな現代の心理学的諸問題が取り上げられています。筆者は13章の「人間とコンピュータ」で,コンピュータに比べて人間がいかに高度な情報処理を行っているかをおもしろい実例を挙げてわかりやすく解説しました。これから認知心理学を学ぼうとする人は,是非ご一読を(近くこの章の発展編を「心理学を学ぼう」(2006年春発行予定,ナカニシヤ出版)にまとめる予定)。
発達,学習,学習指導,生徒指導について,教職を目指す学生の利用をも想定して書かれた教育心理学の書。筆者は第8章「学びとりのメカニズム」で,学習の基本的メカニズム,学び方・学ばせ方の工夫,記憶の理解,応用力を育てる,という4つの重要な学習心理学のトピックスについて解説しています。
医療現場において、臨床心理士がどのような活動を行っているか、医学とはひと味違う立場である臨床心理士がこころの問題にかかわるときにもつ援助に対する姿勢について、具体的事例を通して紹介したもの。小児科領域:事例1「学習障害によって情緒障害を呈した女児」精神科領域:事例12「汚い物に触れない強迫性障害の女子青年」を執筆した。
多様化しつつある心理臨床の最前線の実践活動を紹介したもの。病院での臨床心理士経験から、第6章「ひきこもりの女子青年との面接過程−ひきこもりからの脱出と母親からの分離をめぐって−」を執筆した。現代病と言われる「非精神病性のひきこもり」の特徴や女性特有のひきこもりのあり方に対する理解のしかたについて考察した。
「看護にいかせる心理学の知識」と「看護実践と心理学」の2部構成になっており、1部の第12章「看護と臨床心理学」を執筆した。看護に携わる人たちに向けて、臨床心理学がどのような学問であるか、臨床の場における患者との具体的なかかわり方、主な心理療法について解説した。
全部で6章からなる思春期の不登校の様々な様相を描いた事例研究集である。このうち第4章「瑠美(高校1年・女子)−りりしい『王女』の孤独−」を執筆した。不登校の女子青年との面接経過を報告する中で、思春期の女子青年に特徴的な不登校のあり方を提示し、女性性との関連で考察を行った。